言葉辞典出張版版

ネットに散らばっている言葉を集めている。それだけだ。

今、晩夏に沈む太陽は海を血潮のように染めていた。安里の中にはもう故郷に還りたいという望みはなかった。
海が2つに割れなかった時、故国の羊や人々はその夕焼けの海の中に全て消滅したのだと安里は考えた。
でも安里は夕焼けの色が無くなり灰色になるまで、じっとそこから目を離さない。