2013-12-30 ■ 読む者を所属する社会から引き剥がし、帰って来れなくなるかもしれない世界へと導く魔笛であり、その魂に現世(うつしよ)にまで溢れるほど夜の夢を注ぎ込む邪な水差しである。だが、影をなくした者が消え去るほかないように、すべてを白日の下にさらせば読書の愉楽は消え失せる。 わたしやあなたの魂もまた……。