2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧
お母さんのお腹から生まれて子どもの身体がお母さんと離れるが、模倣を通して結びついていた外界の事物から、模倣力の力を失った9歳の子どもは、自分と周りの世界との一体感から抜け出し、自分を世界の中に存在する「個」として感じるようになる。それは、そ…
ひとの死を悲しむことができるのは幸せなのだ、と三回忌の法要のときに海雲和尚に言われた。 ほんとうにつらいのは、悲しむことすらできず、ただ、ただ、悔やみつづけ、己を責めつづけるだけの日々なのだ、と
ハッとさせられる。それは押さえつけられるようなものではなく。 世界がくるんとまわる。記憶は溶ける。 少しずつ遠くなる。
なぜ、これを「失敗」だと思うのだ。 これは、これではうまくいかない、ということを発見した「成功」なんだよ
たった一日きりの 稲妻のような真実を 抱きしめて 生き抜いている人も いますもの
情熱は幻みたいなものだから、一度幻だって気づいてしまうと二度とリアリティーを取り戻せない。 そうして何も心に響かない現実を過ごし続けたら、まともな精神ならおかしくなってしまう。 今手元に残っている情熱は大切にした方がいい
2005-07-16 号 高橋 源一郎(作家)日本でいちばん有名なファンタジーは、結局、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』なのだが、それはいったい何故だろう、と考えたことがある。面白いから?そりゃそうだ。『風の又三郎』』や『オッペルと象』の宮沢賢治の最高傑作だ…
ただし、いずれの物語でも「虚無」が主題となっているとは言え、それらが同じ質の「虚無」であるかどうかについては、一考の余地がある。 私の考えでは巻頭に置かれた表題作と2番目の「峠の我が家」の「虚無」は同質のもので、タカハシさんがかつて『ニッポ…
表題作の主人公、クリストファー・ロビンも、3.11の衝撃で精根尽き果てたあの吉田秀和翁のように老いさらばえて両手を上げて、静かにあの世へ旅立ってしまった。しかしクリストファー・ロビンも吉田秀和翁も、遥かな遠い世界へ去ったのではなく、きっと私た…
毎日毎日砂を噛むように空虚な時間が流れて行き、ともすれば天変地異も勃発し、人々はおのれの存在理由を見失う。慣れ親しんだ友人や物や世界が、気がつけばどんどん失われていく